家は、正解で選ばなくていい。

家づくりのご相談を受けていると、
多くの方に共通する、ある傾向を感じます。

それは、
「自分がどう感じるか」よりも
「間違っていないかどうか」を基準に選ぼうとしてしまうこと。

特に、真面目で、
家づくりに後悔したくないと強く思っている女性ほど、
この傾向が表れやすいように感じています。

たとえば床材ひとつを選ぶときも、

「一番人気はどれですか?」
「無難なのは?」
「皆さんはどうしていますか?」

そんな質問をいただくことが良くあります。

人生で大きな買い物になる家。
失敗したくないと思うのは、とても自然なことです。

けれど、あなただけの住まいは
誰かの基準から逆算することで完成するものではありません。

使う人の性格、体格、家族構成、
一日の過ごし方や大切にしている時間。

それらが違えば、心地よく感じる答えも変わってきます。

インテリアを選ぶとき、
一瞬でも「いいな」と感じた素材や色がきっとあると思います。

その感覚は、
思っている以上にあなたにとって大切な感覚。

寸法や収納量など、数字で確認できることは
考えたり調べたりするほど納得しやすい。

一方で、
床や壁の色、カーテンの質感、
照明の光のやわらかさといったものは、
どれだけ悩んでも、最初に心が動いたものに戻ることが多い。

長年、お客様にご提案をしている中で実感していることです。

ある住宅展示場で座った心地よい椅子。
光があたたかくやさしいダイニングの照明。

カフェのトイレに貼られていたかわいいタイル。

理由は説明できなくても、
「好き」と感じた感覚は、
家の居心地を左右する大切な要素になります。


お住まいになった後の後悔が少ないのは、
こうした感覚を大切にされたケース。


だから私は、
判断に負担がかかる部分はプロとして引き受け、
「どう感じるか」という一番大切なところを、
お客様ご自身にしっかり見極めて欲しいと思っています。

家は、誰かに評価されるためのものではなく、
あなたが一番安心できるための場所。

何故好きなのか、言葉にしきれなくてもかまいません。

「なんか好き」「なんか落ち着く」
その感覚を大切にされてみてください。

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